拠点形成プロジェクト
人文科学分野向け研究データ管理を促進する
デジタル・ヒューマニティーズ学習教材開発
プロジェクト代表者
吉賀 夏子
大阪大学大学院人文学研究科人文学林・准教授
近年における世界的なオープンサイエンスの潮流によって、あらゆる研究データの公開や利活用への期待が高まっています。こうした研究データの利活用の実現のためには、学生・教員などの研究者とその研究支援者が一体となって研究データの構築と管理の重要性およびその具体的な手法を学ぶための実践的な教材を開発することが極めて重要になります。本プロジェクトでは、人文科学分野の研究活動を情報処理技術で支援するデジタル・ヒューマニティーズの知見を活かし、研究データ構築・管理を啓発する学習教材の開発を行います。
この教材開発の目的の一つとして、大阪大学から生まれた研究成果の管理および公開の手法を効率的に理解するための一助となることが挙げられます。これには、昨今におけるオープンサイエンスの機運により、国内外の研究者に対して資金配分機関による研究データ管理の必要性が高まっていることが背景にあります。例えば、2024年度の科研費よりデータマネジメントプラン(DMP)の提出が必須となり研究データの積極的な公開と管理を本格的に進めることが求められています。本学においても2023年3月に大阪大学研究データポリシーが策定されておりますが、特に、人文社会科学系の研究データの公開と管理の基礎について具体例を用いて学ぶ機会は限られており、関係研究者にとってはこのような取り組みについて馴染みが薄いというのが現状です。
また、本学は「AI等の活用を推進する研究データエコシステム構築事業」に参画し、その中でも、研究データの公開と管理に比較的馴染みのある医歯薬、理工系の学術領域のみでなく、人文社会科学系領域においても適切な研究データの取扱いを行える人材育成にも注力しています。
本プロジェクトでは、研究の過程で制作された画像などのメディア類に対し、将来的な利活用を考慮した管理手法を示します。まずは、高精細な画像や動画をWeb公開し、利活用を促す国際的な画像相互運用のための枠組みであるIIIF(International Image Interoperability Framework)を用いて、懐徳堂関連文書の撮影画像をOUKAで実際に公開する過程を事例として紹介する教材を開発します。加えて、開発した学習教材は、FD研修や学生への指導教材として活用していくことも目指しています。
本教材を通じて、本学の学生および研究者が研究データエコシステムへの理解を深めることで、研究データの散逸防止、研究効率化、異分野融合、研究者評価の多様化などに繋げることが期待されます。
プロジェクト構成員 | ||
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学内 | 田畑 智司 | 大阪大学大学院人文学研究科言語文化学専攻・教授 |
甲斐 尚人 | 大阪大学附属図書館研究開発室・准教授 | |
菅原 裕輝 | 大阪大学大学院人文学研究科人文学林・特任助教(常勤) | |
田儀 勇樹 | 大阪大学グローバル日本学教育研究拠点デジタル日本学部門・特任助教(常勤) | |
神崎 隼人 | 大阪大学附属図書館研究開発室・特任研究員(常勤) |
協力機関・ 連携機関 |
大阪大学附属図書館 |
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大阪大学コアファシリティ機構 データ利活用・DX化支援部門 |
キーワード | オープンサイエンス、研究データエコシステム、人材育成、動画教材、IIIF |
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